アジア各地の食の融合 シンガポール

マレー半島の先端に位置するシンガポールは、国民のほとんどが中国やインドからの移民と
元々すんでいたマレー人で構成されています。

その理由からシンガポールでは中国料理、マレーシア料理、インド料理、さらに近隣のインドネシア料理など
様々なアジアの料理が街のホーカーセンター(大型フードコート)で
気軽に、しかも自由に選んで食べられるのが大変魅力です。
他民族国家シンガポール。それでもシンガポール独特の料理があります。

いろいろあるシンガポール料理で有名なものはまず移民の7,8割を占める中国系移民の中の
ハイナニーズという中国南部の海南島出身の人が広めた海南鶏飯」=ハイナンチキンライスと呼ばれる
茹で鶏とその茹で汁で炊いたピラフとスープのセット。

これは有名ホテルのレストランだけでなく、そこら中にハイナンチキンライス専門店があり、
各店ごとにオリジナルカラーを出し味を競っています。

もう一つは肉骨茶(バークテー)というスペアリブのスープ。

シンガポールの中国系の移民の中には 福建(ホッケン)系と潮州(テオチュウ)系の人が多く、
そのためシンガポールの中国料理には比較的こってりの味付けのホッケン料理と
あっさりのテオチュウ料理があります。

その理由からバークテーもホッケン風の八角、シナモン、クローブが入って濃い口醤油で
味付けされた漢方の薬効高い黒いスープとスペアリブ、ニンニク、白胡椒だけのテオチュウ風の
白いスープの2種類あります。
このバークテーは疲れたときに飲むととても元気になるとのことで現地の日本人駐在員もはまる人が多いとか。

さらにシンガポール料理の中でも特に興味深いのが 「ニョニャ(ペラナカン)料理」。
19世紀から20世紀はじめにかけて商人として移民してきた
中国系の男性と現地のマレー系の女性の結婚で生まれた男の子を「ババ」、
女の子を「ニョニャ」と呼び、ペラナカンという独特の文化が生まれました。

使う材料、調理法ともに中国料理とマレー料理がミックスされ
中国の食材に、少し甘くて酸味の効いた、ココナッツやピーナッツソースを多用する
ユニークなメニューが多いのが特徴です。

その中でも一番有名なのが「ラクサ」という麺。
中国の麺とマレーのココナッツや唐辛子を使った2つの食文化の見事な融合により
シンガポールの代表料理となりました。